
レビー小体型認知症の発症前のサインについて、以前記事で書きました。
今回は、私も様々な研究発表会に参加し、より、わかりやすい詳細な資料を入手しましたので、【詳細版】として、追記をさせていただきます。
レビー小体型認知症の初期症状を理解するメリット
レビー小体型認知症の初期の症状を理解することには3つのメリットがあります。
1.早期にレビー小体型認知症を疑うというアンテナを持つことで、早期発見に繋げることができる。 2.レビー小体型認知症の治療まで最短距離でたどり着くことができる。 3.他の疾患と誤り、適切でない治療を行わずに済む。 |
以上のメリットを見てみると、一般の方が理解するというより、どちらかといえば、市民に身近な地域の「かかりつけ医」が理解しておく必要があると思います。
内科医であれ、整形外科医であれ、歯科医であれ、高齢者の患者がレビー小体型認知症にかかるというリスクは、同一であると言えます。
この超高齢社会で医療業を行う上で、「専門外の分野は知らない」という言い訳は通じないわけですので、ぜひ、レビー小体型認知症が疑われる臨床症状と出現時期については理解をしていただきたいと思います。
また、一般の方がレビー小体型認知症の初期症状を理解する事で得られるメリットは、状況をリアルに「把握」している点であると言えます。
所詮、医師といえど、毎日、患者の症状を見るわけではありません。
2週間もしくは1月に1回程度の医師よりも、よっぽど、レビー小体型認知症が疑われる身内の状況を知っているのは、一般の方、つまり、家族なのです。
振り返って、レビー小体型認知症が疑われる本人の症状を時系列に見直してみると、
「あれ、これって、レビー小体型認知症の症状だよね!」という気づきを得られるようになります。
今回は、そのような時系列でレビー小体型認知症のサインを見ることができる研究をお伝えしたいと思います。
レビー小体型認知症が疑われる臨床症状と出現時期
レビー小体型認知症(DLB)の臨床症状の頻度と出現時期/藤城 弘樹
上記の研究結果は、記憶障害が出現した時期と、記憶障害以外の各症状の頻度と症状の出現時期について調査したものとなります。
「便秘」「嗅覚障害」は、ぞれぞれが記憶障害によりも約9年前に出現し、かつの合併率は高くなっています。
「抑うつ」も平均4.8年前からと比較的早期に出現しています。
ですが、「便秘」「嗅覚障害」「抑うつ」という症状は、ある意味「よくある体調不良の症状」といえば、それまでのような気がします。
そこで、重要なサインが「レム睡眠障害」の症状となります。
レム睡眠障害(レム睡眠行動異常症)はレビー小体型認知症の大きなサイン
レム睡眠障害は、レビー小体型認知症の兄弟といわれるパーキンソン病の診断が行われる前に見られる重大なサインとされています。
しかも、上記の研究結果を見てもわかるように、明らかな記憶障害が起こる以前、平均4・5年で出現し、合併率も66%と非常に高くなっています。
また、何といっても、レム睡眠障害はわかりやすい行動となります。
レム睡眠障害の詳細は → こちらをクリック
幻視・パーキンソニズムが出現したら、レビー小体型認知症率が最も高い研究結果から見られるように、レビー小体型認知症の併発率が最も高いのは
・幻視:88%
・パーキンソニズム:86%
となっており、症状も残念ながら、かなり進行している時期となります。
このような状況におちいる前に、
「もっと早く、サインに気づいていたら・・・」
という後悔する前に、今回の記事に出会えていただけたらと思います。
早く適切な診断が下り、進行予防できる治療を受けることができる事を祈っています。
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